雨が振って来た
雨が降って来て
傘を持たず
急に着ていたシャツを頭に掲げて
急ぎもせず
凛と歩く
あの子は今頃何をしているんだろうか、とか
そういえばここをよく通ったっけ、とか
黙々と
目に映るものを
うそともほんとうとも受け止めず
流れて行くものを、ただそのままに
雨とともに身体にしみ込ませ
忍び込んだ怪しげな想いは
いつしか宙へと
浮かんで消えるような
ここにとどまるような
よくわからないもやもやが
頭に掲げた濡れたシャツから
湯気になって出て
ここはもう秋の中心軸から少しずれて
悲しくはないんだけれど
悲しくなくはないような
恋しくはないんだけれど
恋しくなくはないような
よくわからないけれど
雨に濡れて
傘も持たず
そんなことだけを思って
あ、あの子が通った
と、思ったりして
0 件のコメント:
コメントを投稿